2025年07月28日

公認内部監査人(CIA)とは?試験難易度や資格取得のメリット

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近年、内部監査の重要性が改めて認識されるにつれて、公認内部監査人(CIA)の需要も高まっています。
企業によっては、内部監査の専門性を高める取り組みの一環として、公認内部監査人(CIA)などの資格保有者を配置していることを有価証券報告書等で開示し、その正当性や信頼性をアピールするケースも見られます。

この記事では、公認内部監査人(CIA)がどのような資格なのか、その試験概要や難易度、取得のメリットなどを詳しく解説します。
特に、内部監査として働く方々や内部監査としてのキャリアを目指す方々にとって魅力的な資格ですので、今後のキャリアアップの参考にしてください。

公認内部監査人(CIA)とは

公認内部監査人(Certified Internal Auditor、CIA)は、内部監査の専門資格として世界中で認知されている資格です。
国際内部監査人協会(IIA:The Institute of Internal Auditors)が認定する資格であり、企業のガバナンスやリスク管理、内部統制の評価に関する高度な専門知識とスキルが求められます。
取得することで、内部監査を行う監査人の能力を証明できます。

また、公認内部監査人(CIA)は資格を取得するだけで終わりではありません。
「継続的専門能力開発制度」と呼ばれるスキルアップ制度があり、最新の知識や技能を維持できます。

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公認内部監査人(CIA)の需要

公認内部監査人(CIA)は、取締役や従業員が不正を行っていないか、コンプライアンスを遵守して業務にあたっているかをチェックする内部監査を行います。

従来、日本では内部監査を担うのは経営者または経営者に近い人物である場合が多く、経営者の裁量から独立したものではなかったため、その透明性が確保しにくい状況でした。
その結果、不正会計が相次いで発覚したのをきっかけに、内部統制の強化が強く求められ、コンプライアンスが重視されるようになりました。

また、不正・不祥事を未然に防ぐだけでなく、企業の成長や目標達成のために、企業活動を評価・助言するコンサルタントとしての役割も注目されています。
こうした時代のニーズから、内部監査の重要性が認知され、公認内部監査人(CIA)の需要が高まっています。

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公認内部監査人(CIA)の試験内容

公認内部監査人(CIA)の試験内容や、難易度についてご紹介します。

公認内部監査人(CIA)の試験日は?

公認内部監査人(CIA)の試験は、IIAが提供するオンラインプロクター試験として年間を通じて実施されています。
受験者は自身のスケジュールに合わせて試験日を決められるため、働きながらでも受験できます。

なお、オンラインプロクター試験とは、受験者が自宅や職場からインターネットを通じて試験を受けられる形式です。
試験監督者がリアルタイムで受験状況を監視する仕組みであり、受験者はカメラとマイクを使用し、厳格なセキュリティ環境下で試験が実施されます。

公認内部監査人(CIA)の受験資格は?

公認内部監査人(CIA)試験を受験するには、4年生大学を卒業していることが必須です。
この教育要件を満たしていない場合は、短大・高専卒で5年以上の内部監査実務経験、または7年以上の内部監査実務経験など、代替要件を満たす必要があります。

なお、以前は第三者からの推薦状が必要でしたが、2023年6月以降より不要となりました。

公認内部監査人(CIA)の試験以外の資格認定要件は?

公認内部監査人(CIA)の資格取得には、試験合格の他に以下の業務における実務経験が必要です。

  • ・内部監査
  • ・品質のアシュアランス
  • ・リスクマネジメント
  • ・その他の監査または評価実務
  • ・コンプライアンス
  • ・外部監査
  • ・インターナルコントロール

実務経験の必要年数は、大学院卒(修士)の場合は1年、学部卒の場合は2年です。

なお、資格認定の有効期限に関しては、受験申込登録完了日から3年以内に全科目に合格し、実務経験の証明を含む資格認定手続きを完了する必要があります。
期限内に完了しない場合、それまでの合格は無効となるため注意が必要です。

公認内部監査人(CIA)の試験内容は?

公認内部監査人(CIA)試験は、「内部監査の基本」「個々の内部監査業務」「内部監査部門」の3つのパートで構成されています。

日本語版の試験は、2025年7月28日より以下の内容となりました。

各パートの問題数・試験時間

パート 試験内容 問題数 試験時間
Part1 内部監査の基本 125問 2時間
30分
Part2 個々の内部監査業務 100問 2時間
Part3 内部監査部門 100問 2時間

各パートの試験内容詳細と配点比率

パート 試験内容詳細 配点比率
Part1 内部監査の基本 35%
倫理と専門職としての気質 20%
ガバナンス、リスク・マネジメント及びコントロール 30%
不正リスク 15%
Part2 個々の内部監査業務の計画策定 50%
情報の収集、分析及び評価 40%
個々の内部監査業務の監督及びコミュニケーション 10%
Part3 内部監査部門の運営 25%
内部監査の計画 15%
内部監査部門の品質 15%
個々の内部監査業務の結果とモニタリング 45%
※参考:一般社団法人日本内部監査協会「CIA:Certified Internal Auditor(公認内部監査人)」

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公認内部監査人(CIA)の合格率・難易度

公認内部監査人(CIA)の合格率は非公開となっています。
各パートで250~750点の範囲で採点され、600点以上が合格ラインです。

受験者は様々なバックグラウンドの方がいますが、特にこれから内部監査のキャリアを目指している場合は難易度が高く感じるでしょう。
対して、内部監査経験者や公認会計士など基礎知識がある方は、未経験者と比較して合格しやすいかもしれません。しかし、試験対策を怠れば合格は難しいでしょう。

なお、各パートの受験回数制限は8回です。この制限を超えると合格実績が取り消しになるため注意が必要です。

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公認内部監査人(CIA)の資格を取得するメリット

公認内部監査人(CIA)の資格を取得するメリット公認内部監査人(CIA)を取得するメリットは、以下の2点が挙げられます。

内部監査知識を含む幅広いビジネス知識が身につく

内部監査では、企業組織のあらゆる部門の業務を把握する必要があります。
さらに、経営者目線の視点に立った全般の健全性や施策内容が有効かどうか判断する知識も重要です。
そのため、公認内部監査人(CIA)の資格を取得することで、内部監査業務だけでなくビジネス全般の幅広い知識を身につけられます。

内部監査の転職でアピールできる

公認内部監査人(CIA)は内部監査に関わる資格の中で、唯一の国際資格であり、約190カ国で有効です
そのため、海外や外資系企業での転職でも役に立つでしょう。
主な勤務先は、大手企業グローバル企業の内部監査部門、コンサルティング会社会計事務所などが挙げられます。

ただし、内部監査部門を抱えている企業自体の数が少ないため、全体の求人数は少ない傾向にあります。
そのため、公認内部監査人(CIA)の資格を活かした転職は、業界専門の転職エージェントを利用するとよいでしょう。

MS-Japanは管理部門・士業特化型転職エージェントです。
内部監査をはじめ、公認内部監査人(CIA)の資格を活かせる求人のご紹介や選考通過のための情報共有など、転職活動全般のサポートを行います。
ぜひお気軽にご相談ください。

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公認内部監査人(CIA)取得者の転職成功事例

MS-Japanを活用して転職を成功させた公認内部監査人(CIA)取得者の事例をご紹介します。

Zさん(40代前半男性)
転職前:一般企業
転職後:大手上場企業 子会社(年収170万円アップ)
資格:経営学修士(MBA)、TOEIC810点、公認内部監査人(CIA)

内部監査のプレイングマネージャーであるZさんは、内部監査として専門性を高め、キャリアアップできる環境を目指して転職活動を開始しました。

キャリア面談を通して、「全体を把握できる規模」「経営に対する発言権を持てる環境」「年収アップ」という希望が明確になりました。
そこで、内部監査のリテラシーが高く、比較的小規模な上場子会社をご紹介したところ、無事に転職先が決定しました。

MS-Japan
キャリアアドバイザー
小島 亜里紗

実は「専門性」には、裁量権、職位、業務内容など多様な要素があります。その専門性が発揮できる環境も重要です。
転職活動の際には、希望をなるべく細分化・言語化し、優先順位をつけることでスムーズに進められるでしょう。

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公認内部監査人(CIA)と他の資格の違いを比較

資格取得には多くの時間がかかるため、事前に自身の目指すキャリアや目的とその資格が合っているか確認することが重要です。
まずは、公認内部監査人(CIA)と類似性の高い資格を比較してみましょう。

資格 強み・特徴
公認内部監査人(CIA)
  • 内部監査とリスク管理に特化
  • 海外でも認知度が高い
公認会計士
  • 会計に特化した国家資格
  • 内部監査以外にもキャリアの選択肢が豊富
公認情報システム監査人(CISA)
  • ITリスク管理やシステム監査などのITガバナンスに強い
認定内部監査士(CICA)
  • 実務で活かせる知識を習得可能
  • 中小企業や非営利団体での活用が多い

以下で各資格について詳しくご紹介します。

公認会計士

公認会計士は、財務報告会計に特化した国家資格であり、財務諸表の監査、税務申告、財務分析などが主な業務です。
企業の外部監査人として、信頼性のある財務情報を提供し、投資家や債権者などの利害関係者への報告責任を果たす重要な役割を担います。
公認会計士の資格を取得することで、監査法人、コンサルティングファーム、一般企業の経理・財務部門など、幅広いキャリアパスが開かれます。

公認情報システム監査人(CISA)

公認情報システム監査人(CISA)は、ITや情報システムの監査に特化した資格で、情報セキュリティ、リスク管理、ITガバナンスが専門分野です。
企業のITリスクを管理し、システムの信頼性やデータの機密性を確保する役割を担います。
IT業界はもちろん、金融業界や大手メーカーなど様々な業界で活かせる資格の一つです。

認定内部監査士(CICA)

認定内部監査士(CICA)は、実務的な内部監査に重点を置いた資格で、中小企業非営利団体での活用が多いのが特徴です。
実務経験を通じた監査スキルの強化が求められ、組織内部からの改善提案などで知識を活かせます。

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まとめ

内部監査を担う人材としてキャリアアップを図るために公認内部監査人(CIA)を取得すれば、よりキャリアの選択肢が広がります。
特に企業内公認会計士・税理士の方であれば、公認内部監査人資格取得を優遇条件としている外資系企業や大手企業に転職するなど、キャリアアップのビジョンがより明確になるでしょう。

また、国際資格であるという点も、公認内部監査人(CIA)の魅力です。
グローバル化がより進展するとともに、世界基準の資格である公認内部監査人(CIA)の取得者は、より高く評価されるようになるでしょう。

資格取得者が実際にどのようなキャリアを重ねているのか知りたい場合には、転職エージェントに質問してみるとよいでしょう。
外部からでは見えづらい情報も多いため、多数の事例を見てきている転職エージェントに頼ることで、より精度の高い情報が得られます。

管理部門・士業特化の転職エージェント「MS-Japan」では、業界に精通したキャリアアドバイザーがあなたらしい転職をお手伝いします。お気軽にご相談ください。

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この記事を監修したキャリアアドバイザー

小島 亜里紗

大学卒業後、ウェディングプランナー、業界大手で求人広告の企画提案営業を経て、MS-Japanへ入社。
企業担当のリクルーティングアドバイザーを経験した後、現在は転職を考えられている方のキャリアアドバイザーとして、若手ポテンシャル層~シニアベテラン層まで多くの方の転職活動のサポートをしています。
人材業界での経験も長くなり、いつまでも誰かの記憶に残る仕事をしていたいと思っています。

経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 経営企画・内部監査 ・ 会計事務所・監査法人 ・ 役員・その他 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!

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