弁護士から転職|法律事務所以外の転職先や注意点を解説【求人情報あり】

弁護士の転職先は、法律事務所以外にも、企業内やコンサルティングファームなど多岐にわたります。
それぞれに求められる能力や主な業務などが異なるため、弁護士の転職では自分の希望や得意分野に応じた転職先を選ぶことが重要です。
この記事では、弁護士の転職について、主な転職先となる業界・職種、転職成功事例などを紹介します。
弁護士が法律事務所から転職する場合の勤務先は?
まずは、弁護士の知識や経験を活かしやすい転職先と、それぞれの業務内容や働き方の特徴を確認していきましょう。
一般企業の法務部門
近年では、企業の法務部門に企業内弁護士として転職するケースが増えています。
背景には、企業におけるコンプライアンス強化の重要性が高まっていることが挙げられます。
特に、金融機関、総合商社、メーカー、通信関連企業で活躍するケースが多くあります。
企業内弁護士は法律相談、契約関連対応、コンプライアンス対策、法令調査、労務・労働問題対応、知的財産関連対応などを担います。
法務部を設置している一般企業は大手であることが多く、収入の安定性や福利厚生の充実、ワークライフバランスの向上も期待できます。
コンサルティングファーム
法務面で課題を抱えている企業は多く、弁護士資格を活かしてコンサルタントとして活躍するケースもあります。
例えば、会計不正、品質不正、贈収賄、競争法違反といった不正や不祥事に関する調査案件に携わるケースがあります。
そのため、コンサルティングファームも弁護士の転職先の一つです。
近年では、総合系に加えて、人事系・IT系・戦略系など、特定分野に特化したコンサルティングファームも増えています。
弁護士がコンサルティングファームに転職する際は、自身の得意分野と転職先の専門領域との適合性を見極めることが重要です。
また、法律知識に加え、論理的思考力や経営・財務に関する知見、プレゼンテーション力なども求められるため、これらのスキルに強みを持つ方に適しています。
特許事務所・法律特許事務所
弁護士は、日本弁理士会の実務修習を受けることで、試験を受けずに弁理士として登録することが可能です。
そのため、弁護士としての知見を活かしつつ、特許知財の分野で活躍するために弁理士として特許事務所や法律特許事務所への転職も可能です。
弁理士は、特許庁への出願・登録手続きの代理や、特許契約の締結代理、訴訟補佐など、知的財産権に関する業務を独占的に行える国家資格です。
弁護士と弁理士のダブルライセンスを取得することで、キャリアの差別化や専門性の強化にもつながります。
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法律事務所以外の士業事務所
法律関連の知識を活かせる職場は法律事務所に限らず、会計事務所や司法書士事務所など、他の士業系事務所とも相性が良好です。
他士業と弁護士資格を組み合わせたサービスを提供することで、業務の幅が広がり、柔軟な働き方や独自性の強化が期待できます。
任期付き公務員
近年、自治体が関与する法務業務は専門性が高まり、複雑化・高度化しています。
こうした背景から、自治体内弁護士にも注目が集まっています。
任期付き公務員として、県庁や市区町村で勤務するのが一般的です。
行政の実務経験を積める点は、他の転職先にはない大きなメリットといえます。
任期満了により契約は終了しますが、双方の合意により延長されるケースもあります。
その他
上記以外にも、弁護士資格や実務経験は、さまざまな職種・業界で高いニーズがあります。
たとえば、法務部門向けの各種サービスなどを提供する一般企業の営業部門・営業企画部門・マーケティング部門で、顧客開拓や商品企画、事業戦略などに携わることができます。
また、司法試験受験者やパラリーガル志望者向けのセミナー講師として、知識や経験を活かすキャリアパスもあります。
弁護士の転職パターンは多岐にわたるため、ぜひ自分に合ったキャリアを探してください。
弁護士から転職する際に押さえるべきポイント
弁護士から転職する際のポイントは、以下の3つです。
自分の希望条件・強みを明確にする
どのような職種への転職でも、成功には自己分析が欠かせません。
「なぜ転職したいのか」「転職先にどんなことを求めるのか」という不満や希望が明確でなければ、入社後のミスマッチを引き起こしてしまう可能性も高くなります。
また、希望と合わせて自分の強みを理解しておくことも大切です。
強みを正しく把握できていれば、書類や面接で効果的なアピールができるだけでなく、応募先が求める人材と現在の自分にギャップがないかも確認しやすくなるでしょう。
応募先の情報収集は徹底的に
応募したい求人が見つかったら、その事務所や企業について徹底的に情報収集を行いましょう。
企業の知名度と、自身にとって働きやすい職場であるかは別問題です。
たとえ有名企業であっても、入念な事前調査は欠かせません。
以下の情報を十分に調査したうえで、応募先を選定することが重要です。
- ・具体的な事業内容
- ・求められるスキルや人物像
- ・福利厚生
- ・業界内の評判や従業員の満足度
- ・組織体制や部署構成
- ・弁護士資格保有者の在籍状況
転職理由はポジティブに言い換える
転職希望者の多くは、現職に対する不満や不安を背景に転職を検討しています。
しかし、面接でネガティブな転職理由だけを話してしまうと、面接官に悪い印象を与える可能性があります。
転職理由は、できるだけポジティブなものに言い換えましょう。
例えば、残業を理由に転職する場合、「忙しくてプライベートな時間が取れない」ではなく、「家族との時間を大切にしたい」「効率的に働きたい」などが適切です。
また、年収に不満がある場合は、「なかなか年収が上がらない」ではなく、「自分の能力をもっと試してみたい」と伝える方が良いでしょう。
できるだけポジティブな表現をすることで、「前向きな姿勢」をアピールできます。
転職エージェントの活用も効果的
転職活動に不安がある方は、転職エージェントを利用するのも有効な手段です。
「MS-Japan」は、弁護士をはじめとする士業と、法務などの管理部門に特化した転職エージェントとして、35年以上の実績があります。
弁護士の転職に精通したアドバイザーが在籍し、キャリアカウンセリングや求人紹介はもちろん、応募書類の添削、面接対策など、転職活動をトータルサポートいたします。
すぐの転職を希望していない方でも、キャリア形成に関するご相談は随時受け付けています。
弁護士から転職する際の注意点
年収・働き方の変化を考慮する
弁護士は幅広い転職先の選択肢があるため、転職後の年収・働き方も様々です。
たとえば法律事務所で個人事業主として勤務していた弁護士が、一般企業の法務部門へ転職した場合、年収水準や昇給制度の違いに加え、社内の承認フローやチーム内の調整に戸惑う可能性があります。
そのため、転職先を選定する際は、業務内容や年収だけでなく、働き方、福利厚生、ワークライフバランスなども含め多角的に検討することが重要です。
前職の引き継ぎを疎かにしない
転職時には、弁護士に限らず業務の引き継ぎが欠かせません。
事務所で受任している案件は、他の弁護士も概要を把握していても、新メンバーや自分しか知らない情報は必ず共有しましょう。
引き継ぎ不足で業務に支障が出れば、委任契約の解除や損害賠償請求(民法651条2項)につながる恐れがあります。
個人受任の場合は、転職後も継続できれば引き継ぎ不要ですが、転職先の規定で継続が難しい場合は事情説明や後任紹介など、適切な対応が必要です。
弁護士の転職でよくある質問
弁護士の転職に関しては、市場動向や年収、選考内容などについて多くの質問が寄せられています。
代表的な質問とそれに対する回答を紹介します。
Q.企業内弁護士の転職市場は?
A.企業内弁護士の募集は、近年のガバナンス対応の高度化やビジネスのグローバル化を背景に増加傾向にあります。
大手企業やスタートアップなど、多様な企業が求人を出しているので、自分に合った転職先を探すことができるでしょう。
Q.企業内弁護士として働く場合の弁護士会費は?
A.応募時に企業ごとに確認することをおすすめします。
上場企業では会社負担となる場合が多いものの、企業によっては自己負担となることもあります。
会社負担の場合でも、手当として支給されたり、経費として見込み額を年収に上乗せした形で提示されたりと、企業の制度によって様々です。
弁護士の転職成功事例
MS-Japanを活用して転職を成功させた弁護士の事例を2つご紹介します。
ワークライフバランスの改善と年収アップに成功した女性弁護士の事例
Iさん(20代後半/女性)
転職前:法律事務所
転職後:大手保険会社
Iさんは、企業法務案件と一般民事案件をバランスよく担当できる中規模の法律事務所に勤務していました。 仕事にはやりがいはあるものの、業務が集中し体力的にこのまま長期的に続けられる仕事ではないと感じたことがきっかけで転職活動を開始しました。
職場環境や福利厚生の充実を第一条件としていたため、業務内容は法務以外にも広く検討しました。
その結果、ロースクール出身者が多く活躍する大手保険会社の商品開発部門に内定しました。
ストラクチャードファイナンス経験を活かし、金融機関に転職した弁護士の成功事例
Eさん(30代/男性)
転職前:大手法律事務所
転職後:金融機関
大手法律事務所にてストラクチャードファイナンスやM&A業務を担当していたEさん。
直近では金融機関に出向して、インハウスで投資スキーム検討や法務アドバイスをしていました。
出向の終了が近づくなか、当事者として案件に携わることへの魅力を感じる一方で、出向後の昇進に対する不安から転職活動を開始しました。
出向期間満了までに次の転職先を決めるために、応募前に、これまでの経験を棚卸しし、転職の目的や「なぜ事務所ではなくインハウスなのか」といった理由を明確に整理しました。
その結果、プロジェクトファイナンスに携われる金融機関への転職が決まりました。
弁護士の経験を活かせる求人例
ここでは、「MS-Japan」でご紹介可能な弁護士向け求人をご紹介します。
世界最大規模の業務・戦略コンサルティング会社
仕事内容 |
・不正・不祥事についての調査 ・贈収賄及び競争法に関するサービス提供 ・契約遵守に関する調査 ・企業危機対応支援 ・係争・訴訟支援 |
必要な経験・能力 |
【アソシエイト~シニアアソシエイト】 ・会計・法務・調査分野における実務経験2年以上 【マネージャー以上】 ・会計・法務・調査分野における実務経験6年以上 |
想定年収 |
800万円~1,500万円 |
グローバル化が進むメガバンクの国際法務担当
仕事内容 |
・経営上の意思決定、プロジェクト等に係る法的検討 ・国内外の法務リスク管理・運営に関わる方針策定・実施 ・法律問題に係るアドバイス、ドキュメンテーション・サポート等 ・海外法務部門のコントロール ・海外のレギュレーション対応 |
必要な経験・能力 |
・弁護士としての勤務経験 ・年齢に応じた経験 |
想定年収 |
700万円~1,500万円 |
まとめ
弁護士の転職については、法律事務所間の移籍以外にも、一般企業やコンサルティングファーム、会計事務所、独立など、さまざまな市場があります。
自身の強みや希望を踏まえつつ、転職先の企業が求める人物像や条件も考慮して、最適な転職先を選ぶことが重要です。
転職が不安な場合は転職エージェントを頼るのも1つでしょう。
準備を万全にして転職活動を行うことで、年収アップや残業時間の減少などの成果を上げた例も少なくありません。
弁護士として転職を目指す場合には、事前調査を含めてしっかりと準備・対策を行うことが大切です。
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この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、新卒でITベンダーに入社し、営業としてエネルギー業界のお客様を担当。その後、損害保険会社で法務業務に従事。
キャリアアドバイザーとしてMS-Japanに入社後は、法務、弁護士、法科大学院修了生などリーガル領域を中心に担当。
経理・財務 ・ 人事・総務 ・ 法務 ・ 法律・特許事務所 ・ 役員・その他 ・ 弁護士 を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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