公認会計士登録に必要な実務経験とは?どこで積む?アルバイトは?様々な疑問に回答

公認会計士試験の合格は公認会計士になるために必須の条件です。しかし、それだけでは公認会計士になることはできません。
公認会計士となるためには、さらに以下の3つの要件を満たす必要があります。
- ・3年間の実務経験
- ・補習所に通学し必要数の単位を取得
- ・修了考査に合格
これらの要件をすべてクリアすることで、晴れて公認会計士としての登録が可能です。
この記事では公認会計士の登録に必要な実務経験とはどのようなもので、どこで経験を積めるのかについて詳しく解説しています。また、アルバイトの取り扱いについてなどのさまざまな疑問にも回答しています。
公認会計士登録に必要な実務経験とは
公認会計士の登録に必要な実務経験は、「業務補助」と「実務従事」の2種類に分類されます。
業務補助
業務補助とは監査証明業務の補助を行い、公認会計士として実践的かつ専門的な知識と技術を身につけるものです。業務補助は、監査法人もしくは公認会計士での勤務が含まれることが多く、1年に2つ以上の法人の監査証明業務を行う必要があります。
また、法定監査と任意監査も業務補助として認められています。ただし、監査法人、もしくは公認会計士の監査を受けることが金融商品取引法によって定められている法人や、会社法によって会計監査人設置会社と定められている法人(資本金額が1億円を超える株式会社)は特例で1年につきひとつの法人でもかまいません。
さらに、大手企業での財務分析業務も業務補助の一部として認められる場合がありますが、専門的な知識が不要とみなされる記帳や通常の経理業務は含まれません。
実務従事
実務従事における実務経験は、公認会計士としての独立した業務遂行能力を育成することを目的としています。
実務従事は財務に関する監査が主な業務内容で、分析やその他の業務も含まれます。
業務補助と比べると実務経験の対象になる業務内容が明確に示されていますが、これは一律で判断されるものではありません。公認会計士法施行令第2条によって規定された業務を継続して行っていたかについて個別で判断されるため、注意が必要です。
対象になる業務としてはまず、国や地方公共団体の機関、一部の法人や連結子会社での会計に関する検査や監査、国税に関する調査や検査があります。
次が貸し付けや債務の保証、それに類する資金の運用に関する業務で、預金保険法に規定される金融機関、保険会社、一部の法人が対象です。さらに、原価計算やその他の財務分析に関する業務も対象で、これは国や地方公共団体、またはそれ以外の法人で行われます。
実務経験の期間は?
実務経験の期間は、3年以上とされています。 この3年の実務経験は、週に何日以上行えば良いのでしょうか?
業務補助の場合には、監査法人などの代表者が認めるならそれで良いとされています。
1週間あたりの日数などは特に定められていません。
実務従事の場合には、「常勤で3年」が基準となり、非常勤などで勤務日数が少ない場合は、常勤の勤務日数と比較して期間が考慮されます。
勤務日数が常勤の半分なら、実務経験の期間も半分とみなされることになります。
実務経験の時期は、公認会計士試験合格の前でも後でもかまいません。
しかし、多くの人は、公認会計士試験に合格後、実務経験を行っています。
監査法人以外にはどこで実務経験を積める?
公認会計士になるための実務経験を積める勤務先を見てみましょう。
会計事務所・税理士法人
たとえ小規模な会計事務所や税理士法人であっても実務の経験を積むことができます。ただし、一般的な会計監査、または資本金が5億円以上の法人を対象とした原価の計算や財務分析などの業務を行っていることが実務経験の条件です。
また、すべての会計事務所や税理士法人がこれらの業務を提供しているわけではないため、実務経験の要件を満たすためには、事前に業務内容を確認する必要があります。
一般企業の経理
一般企業の経理部門でも実務経験を積むことができます。とくに原価計算や財務分析に関連する業務は、公認会計士としての実務経験の要件を満たす可能性があります。
しかし、ここでも資本金が5億円以上の企業である必要があります。企業の規模や業務内容によっては、実務経験の要件を満たすことが難しい場合もありますので注意が必要です。
コンサルティングファーム
コンサルティングファームでは、特に財務コンサルティングや経営コンサルティングの分野で実務経験を積むことができます。
実務従事として認められる条件としては資本金5億円以上の法人などの原価計算や、財務分析に関する事務を行った場合です。所属するコンサルティングファームの資本金が5億円未満であっても問題はありません。
銀行・保険会社
銀行や保険会社でも、貸し付けや債務保証などの資金運用に関する業務を通じて、公認会計士としての実務経験を積むことが可能です。
ただし、実務経験と認められるのはこれらの業務に限定されており、他の部署に配属された場合は実務経験の要件を満たさない可能性があるため、就職や配属の際には業務内容をよく確認する必要があります。
国税局などの公務員
公認会計士を目指すうえで、国税局などの公務員としてのキャリアもひとつの選択肢です。ここでは、税務調査や監査に関連する業務は実務従事と認められますが、法人の税務申告は実務従事とは認められません。
また、この道を選ぶ場合は公務員としての採用プロセスを経る必要があります。
アルバイト・非常勤でも実務経験として扱われる?
正社員ではないアルバイトやパート、非常勤の形態でも公認会計士試験合格後の実務経験は認められます。業務補助の場合、監査法人の代表者の認定を受けることで、要件を満たすことが可能です。具体的には、3年以上の期間で監査業務の流れや手続きを習得し、業務補助等証明書の発行を受ける必要があります。
実務従事に関しては、アルバイトやパートであっても常勤と同様の勤務時間をこなしている場合、問題ありません。しかし、常勤よりも勤務時間が少ない場合、通常の3年間では要件を満たすことができないため注意が必要です。
非常勤の場合は、定められた数の監査証明業務に3年間携われば、労働時間数に関わらず実務経験として認められます。一方、実務従事には3年間の勤務が規定されており、アルバイトやパートタイマーは労働時間を勘案した適当な期間での勤務が求められます。
試験合格者向けの求人例
弊社MS-Japanは、公認会計士をはじめとする士業と管理部門に特化した転職エージェント「MS Agent」を提供しています。ここでは、MS Agentで取り扱っている公認会計試験合格者向け求人の一部をご紹介します。
会計士・監査トレーニー/老舗監査法人
仕事内容 |
▼公認会計士 ・会計監査 ・株式公開支援業務 ▼監査トレーニー ・財務諸表数値チェック ・確認状の発送補助 |
必要な経験・能力 |
・公認会計士 ・会計士試験合格者 ・会計士試験受験生(短答式試験受験生) |
想定年収 |
350万円 ~ 1200万円 |
監査アシスタント/リモート可/残業20h以内
仕事内容 |
・法廷監査 ・調査業務補助 ・監査アシスタント ・事務作業補助 |
必要な経験・能力 |
・公認会計士 ・会計士試験合格者 ・会計士試験受験生 |
想定年収 |
500万円 ~ 1200万円 |
まとめ
公認会計士として登録するためには実務経験が必要です。
正規雇用やアルバイトといった雇用契約の形態にかかわらず条件さえ満たせば監査法人や一般企業の経理職など、さまざまな場所で実務経験は積むことができます。
将来の目標を見据え、自分のキャリアをステップアップさせられる勤務場所を選択しましょう。


この記事を監修したキャリアアドバイザー

大学卒業後、不動産会社にて個人向けの営業を経験。その後MS-Japanへ入社。会計事務所・コンサルティングファーム・監査法人・法律事務所・社会保険労務士事務所等の法人側担当として採用支援に従事。現在はキャリアアドバイザーも兼務し一気通貫で担当しております。
会計事務所・監査法人 ・ 公認会計士 ・ 税理士 ・ 税理士科目合格 ・ USCPA を専門領域として、これまで数多くのご支援実績がございます。管理部門・士業に特化したMS-Japanだから分かる業界・転職情報を日々更新中です!本記事を通して転職をお考えの方は是非一度ご相談下さい!
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会計士の転職・キャリアに関するFAQ
監査法人から事業会社への転職を考えています。MS-Japanには、自分のような転職者はどのくらい登録されていますか。
具体的な人数をお知らせする事は出来ませんが、より直接的に企業に関わりたい、会計の実務経験を積みたいと考えて転職を考える公認会計士の方が大多数です。 その過程で、より多くの企業に関わりたいという方は、アドバイザリーや会計事務所への転職を希望されます。当事者として企業に関わりたい方は事業会社を選択されます。 その意味では、転職を希望する公認会計士の方にとって、監査法人から事業会社への転職というのは、一度は検討する選択肢になるのではないでしょうか。
転職活動の軸が定まらない上、求人数が多く、幅が広いため、絞りきれません。どのような考えを持って転職活動をするべきでしょうか。
キャリアを考えるときには、経験だけではなく、中長期的にどのような人生を歩みたいかを想定する必要があります。 仕事で自己実現を図る方もいれば、仕事以外にも家族やコミュニティへの貢献、パラレルキャリアで自己実現を図る方もいます。ですので、ご自身にとって、何のために仕事をするのかを一度考えてみることをお勧めします。 もし、それが分からないようであれば、転職エージェントのキャリアアドバイザーに貴方の過去・現在・未来の話をじっくり聞いてもらい、頭の中を整理されることをお勧めします。くれぐれも、転職する事だけが目的にならないように気を付けてください。 今後の方針に悩まれた際は、転職エージェントに相談してみることも一つの手かと思います。
ワークライフバランスが取れる転職先は、どのようなものがありますか?
一般事業会社の経理職は、比較的ワークライフバランスを取りやすい為、転職する方が多いです。ただ、昨今では会計事務所、税理士法人、中小監査法人なども働きやすい環境を整備している法人が出てきていますので、選択肢は多様化しています。 また、一般事業会社の経理でも、経理部の人員が足りていなければ恒常的に残業が発生する可能性もございます。一方で、会計事務所、税理士法人、中小監査法人の中には、時短勤務など柔軟に対応している法人も出てきています。ご自身が目指したいキャリアプランに合わせて選択が可能かと思います。
監査法人に勤務している公認会計士です。これまで事業会社の経験は無いのですが、事業会社のCFOや管理部長といった経営管理の責任者にキャリアチェンジして、早く市場価値を高めたいと考えています。 具体的なキャリアパスと、転職した場合の年収水準を教えてください。
事業会社未経験の公認会計士の方が、CFOや管理部長のポジションに早く着くキャリアパスの王道は主に2つです。 一つは、IPO準備のプロジェクトリーダーとして入社し、IPO準備を通じて経営層の信頼を勝ち取り、経理部長、管理部長、CFOと短期間でステップアップする。 もう一つは、投資銀行などでファイナンスのスキルを身に着けて、その後、スタートアップ、IPO準備企業、上場後数年程度のベンチャーにファイナンススキルを活かしてキャリアチェンジすることをお勧めします。近年はCFOに対する期待が、IPO達成ではなく、上場後を見据えた財務戦略・事業戦略となってきているため、後者のパターンでCFOになっていく方が増えています。 年収レンジとしてはざっくりですが800~1500万円くらいでオファーが出るケースが一般的で、フェーズに応じてストックオプション付与もあります。
40歳の会計士です。監査法人以外のキャリアを積みたいのですが、企業や会計事務所でどれくらいのニーズがあるでしょうか。
企業であれば、会計監査のご経験をダイレクトに活かしやすい内部監査の求人でニーズが高いです。経理の募集もございますが、経理実務の経験が無いことがネックになるケースがあります。 会計事務所ですと、アドバイザリー経験の有無によって、ニーズが大きく異なります。また、現職で何らかの責任ある立場についており、転職後の顧客開拓に具体的に活かせるネットワークがある場合は、ニーズがあります。

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